昨年は、障害者総合支援法改正法が成立し、就労した障害者の定着支援、高齢期を迎えた障害者の支援など、育成会が求めてきた内容が具体的にサービスとして位置づけられることになりました。今後、福祉予算も厳しくなるなか、障害者が地域で安心して暮らせていける環境づくりに向けてより一層取り組みたいと思います。

 権利擁護では、成年後見利用促進法が成立し、これを受けて同制度の利用をどう進めていくか検討会も開かれ、国の育成会からは現行の成年後見制度の抱える課題について意見をしている。とくに身上監護については後見人が知的障害者のある本人の「伴走者」として、その生活を大切に見守ってくれる存在になってほしいと主張されている。成年後見制度そのものの改正も視野に入れながら、注目し、勉強も皆様と一緒にしていきたい。

 手をつなぐ育成会は、障害のある人や子どもの暮らしを支え、人として認められる権利を守るための活動を行う、とても大切な団体です。しかし、この数年、岐阜地区育成会が会員の減少に直面し、とくに若い世代が増えずに高齢化が進んでいるところもあります。こうした傾向が続くと、会の活力が低下し、極端な場合には「もう育成会の役割はないのではないか・・・」というような言葉が出てしまうこともあります。

 かっての育成会は必要とする福祉サービスを立ち上げたり、育成会が母体となって事業所を作っていくという役割がありました。そして、近年ではそうした役割に加えて、権利擁護や地域への理解啓発、多くの世代の交流や余暇活動の支援などを通して、知的障害のある人が暮らしやすい地域を作っていくことが求められています。

 何より、津久井やまゆり園で起きてしまったような事件を二度と繰り返さないためにも、育成会が果たすべき役割はまだまだ終わってはいません。今こそ、育成会活動のことを知り、地域に広げる努力をしていきたいと思います。

岐阜地区知的障がい者育成会 理事長  春見鉄男





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